じゃがいもの『粉質』と『粘質』~調理結果にどう影響する?~

じゃがいも・粉質と粘質

料理に使う定番の芋『じゃがいも』馬鈴薯(ばれいしょ)とも呼ばれます。

じゃがいもの『粉質』と『粘質』という言葉を聞いたことはあるでしょうか?じゃがいもの性質を表す言葉で料理の出来にも影響するため、自炊をするのであれば覚えておいて損はありません。

ざっくり説明すると、

【粉質のじゃがいも】
・ホクホクしており崩れやすい
・ポテトサラダや粉吹き芋、マッシュ系に向く
・汁物や煮物は溶けやすく不向き
【粘質のじゃがいも】
・ねっとりしていて崩れにくい
・汁物や煮物に向く
・つぶして使う場合粉質のようなホクホク感は出ない

と、こんな感じです。

 

……ではそれぞれ実際に作ったらどんな感じになるのか?

 

今回は『粉吹き芋』『白煮』で試してみました。

調理技術や環境、芋の鮮度などで変わる可能性もあります。絶対にこうなる、とは限らないのでご了承ください。

使う品種について

やまも
やまも

今回は
粉質→男爵(だんしゃく)
粘質→メークイン
……を使ってみよう

この2種はそれぞれの代表格といっていいほどおなじみの品種となります。

男爵(よく『男爵いも』と呼ばれます)は丸っこくちょっとゴツゴツしていて、目が深いのが特徴。

一方メークインは楕円形で目が浅いのが特徴です。

やまも
やまも

正直な話、皮を剥いたり芽をとったりの下処理はメークインが圧倒的に楽

基本的にこの2種についてですが、途中別品種にも少し触れている部分があります。

実際に調理してみよう

粉吹き芋

まず粉吹き芋から。名前の通り、粉を吹いたような見た目の料理。

レシピは以下の通り(※分量は適当)。

①じゃがいもを一口大の乱切りにして、水に漬けておく。
②10分ほどで水を切り、鍋にいもと水(材料が隠れるくらい)を入れ、火にかける。
③竹串で刺してみて、火が通っていればお湯を捨てる。

水分を飛ばしながら鍋を揺らしていもをころがす。こげつかないように注意。
⑤塩をふって味付けする。
⑥角が丸くなり、粉をふいたようになれば完成。

今回はいもと塩のみのシンプルな味付けで。コショウを使えばもっとアクセントのある味になります。

うめ
うめ

アレンジとして青のりとかパセリ、バジルを合わせても美味しいよ

男爵

では男爵から見ていきます。

見るからに『粉をふいた』ようになりました。粉状の果肉が細かく、仕上がりがきれいです。食感はほっこりしています。
(※男爵いもはそもそも果肉の色が白いのですが、照明の関係等で余計白っぽく写ってるみたいです)

メークイン

次はメークイン

男爵いもに比べると表面が荒く、潰れたりしたところもあります。

また、男爵より鍋に引っ付きやすいように感じました。

食感はちょっとねっとり。

やまも
やまも

こっちだけ見ればそれほどでもないと思うんだけど、比べてみるとやっぱり男爵いものほうがきれいに見えるかな……

※デジマ

デジマでもやってみました。

デジマで作った粉吹き芋

こちらもメークインのように粘質なので表面が粗い仕上がり。

白煮

今度は『白煮』を作ります。白煮は色の濃い調味料は使わず、薄口醤油や塩などで仕上げます。

今回のレシピは以下の通り。

じゃがいも …2個(180g)
水     …200g
粉末和風だし…4g
砂糖    …5g
塩     …少々

・作り方
①じゃがいもを乱切りにし、面取りをして水に漬けておく。
②いもを水から上げて、鍋に水と入れて火にかける。
③沸騰したら火を弱め、砂糖とだし、塩を入れて煮る。
④やわらかくなったら火を止める。(大体10~15分くらい)

男爵いも

では煮物に不向きとされる男爵から。

やまも
やまも

アレ、思ったよりきれいな仕上がり

今回少量で作ったことや、あまりかき混ぜずに調理したこと、面取りなど丁寧に処理したことによってきれいに仕上がったものと思われます。比較を目的としてるのでもうちょっと大雑把で良かったですね……。

出来としてはメークインよりやわらかめの印象を持ちました。シチューや肉じゃがなどの比較的長時間煮る料理やかき混ぜることの多い料理だとおそらく崩れるだろうと思います。

メークイン

こちらは向いているとされるメークイン

煮崩れることなくきれいにできました。

火の通りを確認するために竹串をさしたところは割れてしまったりしましたが、割れてもそこからぼろぼろ崩れたりということはなく肉質がしっかりしています。

※粉質と粘質の茹でた時の違い

これだけだとちょっと情報として物足りないのでこちらの写真を上げておこうと思います。

粉質の『アンデスレッド』粘質の『デジマ』を味噌汁用に茹でた際に撮ったものです。

デジマはしっかりと形を残していますが、アンデスレッドは表面が煮溶けて崩れかけています。

アンデスレッドは特に崩れやすい品種なので男爵だとここまでじゃないかもしれませんが、粉質はこのように煮溶けやすいため注意が必要。

まとめ

やまも
やまも

試してみた結果のまとめ!

【粉吹き芋】
・粉質の男爵だときれいに粉を吹く。
※ただし粉質の品種によっては崩れる可能性あり
・粘質のメークインでも作れるが、表面の粉状部分が粗くなる。
【白煮】
・粉質の男爵の場合あまり動かさなければ崩さずに作れる。丁寧に扱う必要あり(ただし長時間だと厳しいと思われる)。
・粘質のメークインであれば煮崩れの心配なし。

以上のことから、

どの芋でもまったく作れないということはない…けれど、やっぱりそれぞれの料理に向いているとされる性質の芋をつかったほうがキレイにできるし余計な気をつかわなくてすむのでオススメ

……と、思います。

やまも
やまも

(粘質はいいとして粉質はどうしても煮とけるので代替は難しいかも……)

煮物でも煮とけたり崩れたりしているのが好きという人もいると思うのでそこは好みの問題になりますが、少なくとも形を残したいのであれば粘質を使ったほうがいいと思います。

うめ
うめ

よく見かける他のじゃがいもだと
『ニシユタカ』
『キタアカリ』
『ホッカイコガネ』
あたりも崩れにくいよ

今後また別の料理で試したいのでその際は追記したいと思います。

【更新状況】
24.07.30:全体の構成を見直し、別品種の写真の追加
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