芋、と聞いてあなたはどの芋を思い浮かべますか?『じゃが芋』『さつま芋』『里芋』…といったものをイメージする人が多いのではないでしょうか。
芋にはいろんな種類がありますが、中には『菊芋』というちょっとマイナーなものがあります。何となく古風な名前が里芋と共通するので、もしかしたら似たようなものなのかも?と思うかもしれません。
今回は『里芋』と『菊芋』、この2種類の違いについて簡単に書いていこうと思います。
『里芋』と『菊芋』の違いは何だろう?
分類が異なる
まず、分類について。
普段よく食べている『芋』は、芋と一括りに言っても植物の分類上、実は全然違います。例えば
じゃがいも(馬鈴薯)→ナス科
さつまいも→ヒルガオ科
といった感じ。
里芋の場合は名前そのまま『サトイモ科』。
菊芋も『菊』と名前が付くとおり『キク科』になります。
ちなみに、キクの仲間でよく食べるものに『春菊』や『ゴボウ』があるぞ
里芋はガサガサで丸っこく、菊芋はデコボコ
次に見た目について。
こちらは里芋。今回は『石川早生(いしかわわせ)』という代表的な品種を上げました。他には『赤芽里芋』『セレベス』などがあります。
里芋は表面(皮)がガサガサしています。購入時に土が付いて濡れている状態だともっと黒っぽく湿った見た目ですが、しっかり洗って乾かすとこのような見た目になります。
子芋は小さめで丸っこい(種類によってはちょっと細長い)。凹凸は特に見られません。親芋だともっと大きくどっしりしていますが、サイズ以外似たような感じです。
断面は真っ白に近く、果肉みっちり。
(※赤芽の場合はちょっと模様が入ります)
そしてこちらが菊芋。皮は赤茶色をしています。菊芋にも白と赤、紫といったものがあり、今回のは『赤菊芋』と呼ばれるもの(色味が里芋に近いので今回はこちらをチョイスしました)。
菊芋は里芋のように表面はがさついていません。そのかわり凹凸が多いです。サイズは小さめでコロコロしています。ちょっと丸っこいかりんとうみたいな見た目。
断面は里芋同様白いですが、菊芋の方が少し透明感があるように見えます。
よく見れば全然違うから、見慣れれば間違うことはまず無いと思うよ
※ちなみに白い菊芋は見た目がショウガに似ています↓
里芋はもったり、菊芋はあっさりめ
さて、肝心の食味について。
里芋はねっとり・もったりとした食感が特徴。赤芽と白芽だとまた異なり、赤芽のほうが白よりちょっとトロッとしています。食感が重めというか、しっかり中身が詰まっている感じ。その点はさつまいもに近いかもしれません。ただし、さつま芋のような甘みは無くおかず向き。ちょっと独特な風味があるので、好みは分かれやすいかもしれません(実は私、子どもの頃は里芋が苦手でした。今は好きです)。
一方菊芋は、里芋やほかの芋と比べるとやわらかめで、ほっくり感はあまりありません。味もそこまで濃くはなく、クセもほぼ無し。食感も味もあっさりめで、芋というより野菜に近いのかなという印象。イメージとしては『やわらかいゴボウ』みたいな感じです。
それぞれ好みが分かれそうだけど、どっちも美味しいよ
里芋はメイン、菊芋はサブ寄り?
これに関してはわたし個人の感覚によるところが大きいので正しいかはわかりませんが、里芋と菊芋だとちょっと使い勝手が異なるかなと思います。
里芋は食感が重いというか、もったりとした重量感があるので、煮っ転がしや揚げ浸しなど、里芋単体での食べ応えが強く、料理のメインとして成立します。
一方菊芋はどちらかというと味や食感が軽く使用感が野菜に近い。これ単体…というよりは野菜炒めや汁の実など他の材料と一緒に使うことが多いかなと思います。
……とはいっても双方いろんな料理に使えますし、菊芋メインのレシピももちろん存在します。気になる方はいろいろ探してみると良いかと思います。
菊芋はちょっと入手しづらい
里芋は割とどこにでも売っています。また、皮を剥いてカットしたものが真空パックや冷凍食品として流通しているため、旬の時期外でも入手が可能(ただし、加工品は中国産などが多いため『国産』にこだわるなら入手難易度は上がります)。
一方、菊芋はそれと比べるとあまりお店に出回っていない印象。冷凍などにも向かないのか、一応探してみたものの見つけることはできませんでした。ごく稀に乾燥させたものが売っていることがあります。そういった珍しい食品を取り扱っている大手の店や直売所あたりを探してみると見つかるかもしれません。
前に乾燥菊芋を使ってみたことがあるんだけど、汁の実に使うのに便利だったよ
余談ですが、健康茶に『菊芋茶』があります。食材としては使ったことはなくてもこちらは知っている、という人もいるんじゃないでしょうか。ディスカウントショップにたまに売っています。
菊芋茶は香りや味わいなどゴボウ茶と似ているので、ゴボウ茶が好きな人にはそちらもオススメ。パッケージの記載はよく読み、適量を飲むようにしてください。
まとめ
じゃあ今回の簡単なまとめをして終わろう
それぞれの特徴を簡単にまとめると、
・焦げ茶色、表面がガサガサで丸っこい
・中がみっちり詰まっていて加熱するとねっとり感が出る
・流通が多く、入手手段が多い
・キクの仲間
・赤茶色、表面はがさついておらずデコボコが多い
・ほかの芋と比べて果肉にほっくり感が無い、あっさりめ
・里芋などと比べると流通が少なく入手がちょっと難しい
こんな感じ。とりあえず全く別物であるということは覚えておいて損は無いと思います。
それぞれに合った調理法で美味しくいただいてくださいね。
24.09.26:全体的に構成を見直し