柑橘のコーナーにたまに現れる『天草(あまくさ)』。
パッと見た感じ温州みかんにそっくりなので、
『温州みかんの仲間?』
『味は同じなのかな?』
などの疑問を持つかも知れません。
今回は『天草』について、特徴や食味・食べ方などを簡単に書いていこうと思います。
天草ってどんな柑橘?
みかんとオレンジの特徴をあわせ持つ柑橘
分類で言うと、天草は『タンゴール』に分類されます。
ざっくり言えば『みかんとオレンジの交ざっているもの』。
いくつか代表的なタンゴールはありますが、日本でいちばんよく見かけるのは『清見(きよみ)』。
『清見みかん』『清見オレンジ』の名称で販売されているものも正確には全部同じ『清見タンゴール』。ただ規格(大きさ)まちまちって感じ
その影響か、味にちょっとオレンジの風味があるように思います。
※清見はこんな柑橘↓
ちなみに先日『天草ぽんかん』というものを見かけたのですが、あちらは『天草地方で栽培されたぽんかん』なので品種名の天草とは別ですからご注意を。
見た目は温州みかんソックリ!
天草は一見温州みかんにそっくりな見た目をしています。
コロッとした小ぶりの柑橘で、少し平べったい形。
果皮はきれいなオレンジ色(ものによっては少し色ムラがあるかも)。
実を言うと写真のものはちょっと見えづらいところに傷があります。多少見映えは悪いかもしれませんが、中身は美味しく食べられるので大丈夫ですよ。
これは温州みかんと並べたときの写真。
(温州みかん77g、天草78gで重さもほぼ同じ。みかんのサイズはたぶんSくらい?)
それぞれ単体で見ると似ているのですが、よ~く見ると違いがわかります。
温州みかんは少しデコボコが目立ち、少しふんわりした輪郭。
一方、天草は形が整って丸みがはっきりとしている、全体的に身が締まった印象。
実際に触ってみると、天草の表面は温州みかんほどざらつきは少なく、手触りがなめらかに感じるかな
次に切った中身を見てみます。(※別日撮影のものなので上写真の並べたものとは異なります)
断面はこんな感じ。
中身の形状も、中心の空き具合などかなり似ているように思います。
一方、皮は天草のほうが薄いようです。(個体差はあるでしょうが、それでもおそらく薄い傾向にあると思います)
縦切り断面(※縦のみかんの写真が手持ちに無かったのでこちらは天草のみ)
ヘタ付近は少し厚めですがやっぱり皮は薄いですね。
外皮は硬く、薄皮はやわらかい!
皮は薄いのですが、その見た目から想像できないくらいに硬く、しっかりしています。
中身がミッチリ詰まっているということも理由にあるかもしれないけど、みかんを触った時と比べるとかなりカチカチに感じるんだよなぁ
わたしが最初に購入したのは4年前。当時それを知らず何となしに手で剥こうとして、あまりの硬さにビックリしたのを覚えています。
これが半分に切った後に剥いたもの(2020年撮影)。薄皮まで破けてしまいました。
これは剥いた後の状態(2023年撮影)。
外皮同様薄皮も薄いのですが、こちらはやわらかく破れやすいです。上の写真も小分けにしようとしたところ破れて果肉が見えてしまっています。
味が濃く、食感やわらか!
甘みも酸味もしっかりあり、味が濃い印象(ものによっては酸味がおだやかなものもあるようです)。あえて言えば酸味が後味に残るかなという感じはありますが特に不快なものではありません。苦みは特に無し。
見た目はみかん寄りですが、風味はみかんというより少しオレンジ寄りなのかなと感じます。
薄皮がかなり薄く、口の中にあまり残りません。また果汁がたっぷりあり、果肉もやわらかくジューシーで口当たりが良いです。
種が多いので、飲み込まないようにご注意ください。
ちょっと食べ方にコツが必要?
前項の通り味や食感がとても良い柑橘なのですが、ちょっとネックな点もあります。
それは『ちょっと食べ方にコツがいるかな?』というところ。
見た目は温州みかん寄りなので、みかんと同じように剥いて食べればいいんじゃないの?と思いがち。ただ先ほどの記述と被る点もありますが、この柑橘は『皮が硬く、剥がれにくい』という特徴があります。
手で剥けなくもない…のですが、皮が硬くしっかりしているので、まず爪を立てるのが大変。また、そこを突破しても皮が剥がれにくい上に薄皮が薄いという難関が待ち構えており、剥いているうちに薄皮が破れてしまいます。
皮がかなりしっかりくっついてるから剥がすのに力を入れないといけないけど、あまり強くつかむと果肉がつぶれて果汁が漏れちゃうというジレンマ……
中身を全く傷つけずに手で剥くのは至難の業と言えます(でもものすごく上手い人ならいけるかも……?)。
ならば、皮を剥かずオレンジのようにカットしてみたらどうか?ということで実践してみました。
薄皮がかなり薄いため、この切り方でも歯に引っかかったりすることがありません。しかし皮が剥がれにくいのがこちらでもネックになりますね……。
オレンジの場合は皮と中身の間に切り込みを入れて食べやすくすることもできるのですが、天草は皮はしっかりしているものの薄いためか切り込みを入れようとするとグニャグニャとなってしまい安定しないので難しいです。
(今回は1/8カットで薄くしすぎたかもしれません。1/6くらいの厚さがあればもう少し安定する可能性があります。)
カットしても食べられるものの、皮が剥がれやすいオレンジほどは食べやすくは無いかな…という印象。
あくまで個人的な評価にはなりますが、両方試してみた結果、ちょっと難しいものの手でむくのがいちばん食べやすい気がします。でも中には剥くのがかなり難しいものもあるので、その場合はカットのほうがよさそう。
あと、種が多いので、小房をいくつか一気に食べると口の中で種を分けるのに苦労します。一房ずつ食べることをおすすめします。
あくまで筆者の感想なので、どんな食べ方でもOKです。自分に合った食べ方を見つけてくださいね。
わたし自身、もう少し食べやすい方法が無いかな?と未だに思っているので、今後も模索してみようと思っています。その際はまた追記しますね。
まとめ
上記を簡単にまとめてみよう
『天草』という柑橘は、
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見た目は温州みかんに似ているが、温州みかんがふんわりイメージなら天草はカッチリとした感じ
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皮は薄いがとても硬い。反面薄皮(じょうのう膜)はかなり薄くやわらかい。
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甘みや酸味がしっかりあり味が濃く、少しオレンジっぽい風味もある。
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硬く中身がくっついているのでみかんほど剥きやすくはないが、手でも剥ける。難しい場合はカットで。
と、大体こんな感じでしょうか。
ほかの柑橘と比べるとちょっと食べ方が難しいかな~という感じではあるのですが、それを理由に買わないのはもったいないな…というくらい美味しいです。
美味しい柑橘をお求めの方は是非購入して食べてみてくださいね。
※温州みかんに似ている柑橘のほかの例として『カラマンダリン』もあります。天草と比べると皮は剥きやすいですが薄皮がちょっと硬め。味は割と似てる気がします。↓
オマケ:『天草(てんぐさ)』は海藻
完全に余談なんですがオマケに。
ゼリーなどの菓子作りの定番『寒天』の原料は海藻なのですが、それも『天草』という名前です。ただし、こっちの読みは『てんぐさ』になります。面白いですね。
『てんぐさ』から作られるから『かんてん』って考えたら覚えやすいかな?
24.02.07:全体の構成見直し、項目やリンクの追加など