夏野菜のひとつ『トマト』。現在は栽培技術が進んでいるため、旬の時期である夏以外でも味わうことができます。
トマトといえば赤くて丸いイメージがありますが、たまにこのような形のトマトを見かけたことがないでしょうか?
※トマトはヘタを下にして販売されているのであえてそのまま逆さに描いています
お尻が尖っており、大きくちょっと不格好でどっしりしています。
これは『ファースト』と呼ばれるトマト。普段あまり目にしないので新しい品種かな?と思うかもしれませんが実のところ逆に古い品種で昔から栽培されています。個人的な話で恐縮ですが、私が子どもの頃に本で見た品種が確かコレだった気がします。たぶん20年くらい前…かな……?(ちょっと記憶が曖昧なので違う可能性はありますが……)
さてこのトマト、ちょっと見た目が変わっているので
『一体どんな味なんだろう?美味しいのかな?』
『どんな風に使えばいいんだろう?』
…と、思う人もいるかもしれません。
今回は『ファーストトマト』について、他のトマトとの違いも交えて簡単に書いていきたいと思います。
ファーストトマトの特徴を知ろう!
ビッグサイズでデコボコ、尻が尖った形
では、まず冒頭で書いた見た目の特徴についてもう少しくわしく書いていきましょう。
通常出回ってるトマトと比べてみよう
左がファーストトマト、右が普通のトマト。比べてみると全然違うのがわかります。
普通のトマトは丸っこく表面がなめらかで、色ムラがほぼ見られません。
一方、ファーストトマトはデコボコと盛り上がった形で、普通のトマトと比べると色づきが少し薄く、縦線のような模様が見えます。(※ものによっては色づきが濃く線があまり見えないものもあります)
また、比較的サイズが大きめなのもポイント。
ちなみに上写真のものを量ってみたんだけど、普通のトマト約145gに対してファーストは300g越えと2倍以上の重さだったよ。かなり大きいみたいだね!
※規格にもよると思いますのでサイズ差は一例としてご覧ください。
あともう一つのわかりやすい特徴は尻が尖っているということ。
※逆さなので正確には斜め下からのほうが正しいかも
横から見るとこんな感じ。イメージ的にはよくイラストで見る桃みたいな形ですね。
この部分も個体差が大きく、あまりとがっていないものもあります。
肉厚でつぶれにくい!
次に、断面を見てみましょう。
見比べてみると、ファーストは大きさの割に種のあるゼリー状の部分が少ないように見えます。
たまたま切った場所によるかもと思ったので別の写真も撮ってみました。こちらもそんなに変わらないですね……。
うーん…縦切りだとイマイチわかりづらいかも……
じゃあ横切り断面も見てみる?
横から包丁を入れた断面がこちら。
何だ?この形……
普通のトマトの断面を知ってると違和感を持つかも。
普通のトマトの断面は、上のようにゼリー状部分がかたまった場所にあります。
ファーストはパッと見ると複雑に入り組んでいるように見えましたが、写真をよくよく見比べてみると一応規則的というか、枝分かれになっている箇所が多いようです。
例えるなら『ひとつひとつの部屋は狭いけど部屋数は多い』……みたいな感じかな?
この形状も影響しているのか、ファーストはカットする際つぶれにくくなっています。
実際に小さく切ってみても、上のようにしっかりと形を残すことができました。
通常のトマトはゼリー部分が多く同じ場所に固まっているので、切ろうとするとつぶれやすいのがネックなところ。それと比べるとファーストはあまりそういう心配は無さそう。
ちょっとあっさりめの味だけどおいしい
さて、いちばん気になるのは食味かと思います。
普通のトマトと比べると、少しだけ水っぽいというか、あっさりめの味かな?という印象。ジューシーさというか、フルーティさに関してはどうしてもポピュラーなトマトに少し及ばないところがあります。しかし個人的には特に食べづらいようなクセも感じず、これはこれでおいしい品種だと思います。
果肉が厚くしっかりしているので食べ応えあり。皮は特段硬いという感じは無いですが、気になれば剥いてもいいでしょう。
通常のトマトより崩れにくいので料理にも向いています。ただし、長時間煮たりするとどうしても崩れるので、固形分をできるだけ残したい場合は手早く調理したほうがよさそう。炒め物や煮物でニンニクやハーブを使うとトマト臭さをある程度おさえられます(※完全には無くならないです)。
スープにそのまま使ったらトマト臭がすごかったから、汁物はちょっと注意したほうがいいかも。一応リベンジの際は一旦炒めて味付けにしょうゆを少し入れてみたんだけど、においはだいぶ気にならなくなったかな?酸味はかなり効いてたけどこれはこれで美味しい。
まとめ
最後にざっくりまとめてみよう
ファーストトマトは、
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普通のトマトと比べるとサイズが大きく、尻が尖っている
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色づきは少し薄め
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肉厚&中の構造が複雑になっているので切ってもつぶれにくく、料理に使いやすい
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ちょっと普通のトマトよりあっさりめの味だけど生でも美味しい
…と、こんな感じ。
減ってしまったとはいえ、現在でも栽培している農家さんがいらっしゃるため、たまにお店で買うことができます。地域によるかもしれませんが、私の地元だとトマトの旬の夏というより初春あたりに見ることが多いです。
トマト好きな方でまだ食べたことの無い人は是非食べてみてほしいなと思います。
24.02.10:全体の構成見直し、通常のトマトの断面写真を追加
24.05.08:全体の構成見直し、トマトのイラストを追加