秋~冬の味覚のひとつ『さつまいも』。いろんな料理に合いますが、いちばん簡単で素材を活かせる食べ方は『焼き芋』でしょう。ほくほくと温かく甘い焼き芋は心まで解きほぐしてくれるように感じます。
さて、さつまいもと言ってもいろんな種類のものが売っています。実は中にはあまり焼き芋には向かない品種のものも。
では『焼き芋に向いているさつまいも』というのはどのようなものなのでしょうか。
それぞれの芋の特徴を踏まえつつ簡単に書いていきたいと思います。
最初に:必ずしも正解があるわけではありません
まず最初にお伝えしておくこととして、今回は
②焼いても崩れにくいもの
を『焼き芋に合うさつまいも』の条件としています。
ただ、これはわたし個人の主観にすぎません。
芋を好む方々の中には
『さつまいもの強い甘みは好まないからあまり甘くないほうがいい』
という方もいらっしゃるでしょう。
好みは様々ですので、それを否定する意図はありません。ご了承くださればと思います。

あくまで参考程度にとどめて、最終的には自分の舌で確かめてみてね
焼き芋に合うさつまいもの例
まず結論から言いますと、
- 果肉が黄色いさつまいも
- 果肉がオレンジ色のさつまいも
……は全般的に甘みが強く、焼き芋向きです。
下に例を上げていきます。
果肉が黄色いさつまいも
一般的によく見かけるさつまいものことを指します。
例えば
- 高系14号
- 紅あずま
- 紅はるか
- なると金時
……など。
ほかにも種類はあります。中にはブランド名の付いているものも。


※画像例として上げましたが紅乙女(べにおとめ)はあまり見かけません
肉質は品種によって『ホクホクしているもの』と『しっとりしているもの』があります。出回っているものの大部分はホクホク系と思ってOK。
しっとりしているものの代表格としては『シルクスイート』が上げられます。

ただ、『ホクホクしてる』と言われている芋でも焼いてみるとしっとりしてる時があったりするから、必ずしも全部ホクホクしてるというわけでもなさそう(蜜の量とかにもよるのかも?)
これらのさつまいもは甘みが強くクセもあまり無いため、いちばん食べやすいのではないかと思います。
ただし、ものによっては『味が薄い』場合もあります。そういったものは焼き芋より料理に使った方が美味しく食べられます。
果肉がオレンジ色のさつまいも
次に『果肉がオレンジ色をしたさつまいも』。
出回っているものでコレ系の芋といえば『安納芋(あんのういも)』が上げられます。
生だとちょっと赤みがかった色をしている果肉は、加熱すると鮮やかなオレンジ色になります。

ねっとりとした食感と強い甘みが特徴。焼いている時に蜜が染み出ることも。
加熱した安納芋は果肉がすごくやわらかいため、手で割りづらくつぶれやすいです。手で割るより包丁や果物ナイフでカットすることをおすすめします。芋が小さければ無理して分けずにそのまま皮を剥いて食べてもいいでしょう。

ほかに安納芋に似た品種ってあまり見かけないかな……
たまに見かける『マロンゴールド』というさつまいもも特徴がよく似ています(ただ似ているだけで実際は別物のようです)。こちらもかなりねっとりとしてやわらかく、甘みが強く美味しいです。
これらのさつまいもの少々ネックな点として、普通のさつまいもと比べると風味が異なりちょっとクセがあるということがあげられます。人によってはあまり好みとは合わないかも……。
安納芋は珍しい芋ではないので入手は難しくありません。スーパーなどでも購入できます。食べたことが無い人はぜひ一度食べてみてください。
焼き芋にあまり合わないさつまいもの例
逆に『あまり焼き芋向きではないさつまいも』もあります。

今まで上げた色以外のさつまいもはちょっと合わないかな
決してダメというわけではありません。焼き芋として仕上げることは可能です。
何故向かないと判断するかの理由も合わせて書いていきます。
果肉が白いさつまいも(黄金千貫)
まず果肉が白いさつまいも、『黄金千貫(こがねせんがん)』。果肉だけでなく皮も白っぽいのが特徴。
この芋は本来お酒を造る際に使用する芋で、たまに食用としても売られていることがあります。比較的小さいものが多く、ほかのさつまいもと比べると価格がお安い(そのへんは詳しくないため予想になりますが、おそらく大きいものはお酒用にするため、小さいものが食用として出回っているのではないかと思います)。

芋焼酎といえば鹿児島。そこ周辺ではよく売られているイメージ。逆を言うとそれ以外の地域だとあまり見ないかも

焼いたものの比較。これだけ色が異なります。
黄金千貫はよく『美味しくない』と聞きます。わたし個人としては言われるほど食味は悪くないように思います。
ただ、難点として
②焼くと果肉がボロボロになりやすい
…の2点があげられます。
一般的に焼き芋といえばやはり甘みが強いイメージがあるので、ソレをイメージして食べるとかなり物足りなさを感じるでしょう。また、果肉がホクホクもしっとりもせず、ボロボロと崩れやすくなってしまうのもネックな部分。

味が薄い分クセはあまり無いから、料理に使うとよさそう
シンプルに焼いた場合は崩れやすいですが炒めたり煮たり揚げたりといった調理法ならそこまで崩れないので、味噌汁やかりんとうなどに使うと美味しく食べられます。
※黄金千貫の記事で調理例についてあげています。ご参考までに↓

果肉が紫色のさつまいも
通称『紫芋』と呼ばれるものです。果肉が濃い紫色なのが特徴。
紫芋は総称で、実際はいくつか品種があります。ただ販売時に品種名まで細かく書いていることはあまり無いように思います。お店によってはたまに書いてあるくらい。

近年は『パープルスイートロード』っていう品種をたまに見かけるね。比較的新しい品種みたい

加熱すると濃い紫色になり見た目にも美しい。
ですが、紫芋も残念ながらあまり焼き芋に向いているとは言いづらいです。
理由は『芋自体の甘みがひかえめ』だから。一応黄金千貫よりは甘みがあり、食感も良いのですが、やさしめの甘さなのでどうしても薄く感じてしまいます。

でも菓子作りにはすごく向いてる
そもそも紫芋の最大の利点は『ほかの芋には出せない美しい紫色』と『紫芋独特の風味』。砂糖との相性が良く、お菓子作りにピッタリの芋です。かりんとうや茶巾絞りといった和菓子だけでなくペースト状にしてクリームにして洋菓子に使ってもOK。むしろそのまま焼いて食べるのはちょっともったいないかも。
冬場たまに売っています。
まとめ

じゃあ最後にまとめて終わろう
冒頭にも書いたのですが、あくまで個人的な解釈を含むものなので絶対正しい、というわけではありません。あくまで目安のひとつとして考えていただければと思います。
25.10.20:全体的に構成見直し


