柑橘のコーナーにたまに現れる『天草(あまくさ)』。パッと見た感じ温州みかんにそっくりなので、『みかんと同じなのかな?』と思うかもしれません。
今回は『天草』について、特徴やほかのみかん等との違いなどを見ていこうと思います。
天草ってどんな柑橘?
見た目は温州みかんソックリ!


まず見た目。コロッとした割と小ぶりの柑橘で、少し平べったい形をしています。
果皮はきれいなオレンジ色(ものによっては少し色ムラがあるかも)。

実を言うと写真のものはちょっと見えづらいところに傷があります。多少見映えは悪いかもしれませんが、中身は美味しく食べられるので大丈夫ですよ。

一応比較用に温州みかんの写真を上げておきます。
それぞれ単体で見ると形は似ているのですが、天草は形が整ってパリッとしている印象、みかんは凹凸が目立ち少しふんわりした印象です。

比べてみると意外と違いがわかるなぁ
実際に触ってみると、天草の表面は温州みかんほどざらつきは少なく、手触りがなめらかに感じます。
次に切って中身を見てみます。


断面の比較です。
中身の形状も、中心の空き具合などかなり似ているように思います。
一方、皮は天草のほうが薄いようです。(個体差はあるでしょうが、それでもおそらく薄い傾向にあると思います)

縦切り断面(※縦のみかんの写真が手持ちに無かったのでこちらは天草のみ)
ヘタ付近は少し厚めですがやっぱり皮は薄いですね。
外皮は硬く、薄皮はやわらかい!
皮は薄いと書きましたが、イメージに反しとても硬く、しっかりしています。

中身がミッチリ詰まっているということも理由にあるかもしれないけど、みかんを触った時と比べるとかなりカチカチに感じるんだよなぁ
わたしが最初に購入したのは3年前なのですが、それを知らず何となしに手でむこうとしたらあまりの硬さにビックリしたのを覚えています。

これが半分に切った後に剥いたもの(2020年撮影)。薄皮まで破けてしまいました。

これは剥いた後の状態(2023年撮影)。
外皮同様薄皮も薄いのですが、こちらはやわらかく破れやすいです。上の写真も小分けにしようとしたところ破れて果肉が見えてしまっています。
味が濃く、食感やわらか!
甘みも酸味もしっかりあり、味が濃い印象(ものによっては酸味がおだやかなものもあるようです)。あえて言えば酸味が後味に残るかなという感じはありますが特に不快なものではありません。苦みは特に無し。
見た目はみかん寄りですが、風味はみかんというより少しオレンジ寄りなのかなと感じます。
薄皮がかなり薄く、口の中にあまり残りません。また果汁がたっぷりあり、果肉もやわらかくジューシーで口当たりが良いです。ただ種が多いので飲み込まないようにご注意を。
ちょっと食べ方にコツが必要?
前項の通り味や食感がとても良い柑橘なのですが、ちょっとネックな点もあります。
それは『食べ方』。見た目は温州みかん寄りなのでみかんと同じようにむいて食べればいいんじゃないの?と思いがちなのですが、今までの記述にもあるとおり、この柑橘は『皮が硬く、剥がれにくい』という特徴があります。

手でむけなくもない…のですが、皮が硬くしっかりしているので、まず爪を立てるのが大変。また、そこをクリアしても皮が剥がれにくい上に薄皮が薄いため、むいているうちに薄皮が破れてしまいます。

皮がかなりしっかりくっついてるから剥がすのに力を入れないといけないけど、あまり強くつかむと果肉がつぶれて果汁が漏れちゃうというジレンマ……
中身を全く傷つけずに手でむくのは至難の業と言えます(でもものすごく上手い人ならいけるかも……?)。
ならば、皮をむかずオレンジのようにカットしてみたらどうか?ということで実践してみました。

薄皮がかなり薄いため、この切り方でも歯に引っかかったりすることがありません。ただ、皮がはがれにくいのがこちらでもネックになりますかね……。
オレンジの場合は皮と中身の間に切り込みを入れて食べやすくすることもできるのですが、天草は皮はしっかりしているものの薄いためか切り込みを入れようとするとグニャグニャとなってしまい安定しないので難しいです。
(今回は1/8カットで薄くしすぎたかもしれません。1/6くらいの厚さがあればもう少し安定する可能性があります。)
カットして食べるのも決して悪くは無いんですが、皮が剥がれにくいのでオレンジほど食べやすくは無いかな…という印象。
あくまで個人的な評価にはなりますが、両方試してみた結果、ちょっと難しいものの手でむくのがいちばん食べやすい気がします。あと、種が多い関係で小房をいくつか一気に食べると口の中で種を分けるのに苦労するので、一房ずつ食べるとより食べやすいかと思います。

もちろん、どんな食べ方でもOKです。自分に合った食べ方を見つけてくださいね。
わたし自身、もう少し食べやすい方法が無いかな?と未だに思っているので、今後も模索してみようと思っています。その際はまた追記しますね。
まとめ:ちょっと食べるのが難しいけど美味しい
ということで、ほかの柑橘と比べるとちょっと食べ方が難しいかな~という感じではあるのですが、ただそれを理由に買わないのはもったいないな…というくらい美味しいです。
美味しい柑橘をお求めの方は是非購入して食べてみてほしいなと思います。
オマケ:『天草(てんぐさ)』は海藻
完全に余談なんですがオマケに。
菓子作りなどの定番『寒天』の原料は海藻なのですが、それも『天草』という名前です。ただ、漢字は同じなのですがこっちの読みは『てんぐさ』になります。面白いですね。

『てんぐさ』から作られるから『かんてん』って考えたら覚えやすいかな?
それではまた。
※温州みかんに似ている柑橘のほかの例として『カラマンダリン』もあります。↓
