秋から冬に旬をむかえる果物『りんご』。出回る品種が多く、色や味、食感にも大きく違いがあるのが面白いところ。
『紅玉(こうぎょく)』は昔からあるりんごながら、意外と見かけない品種。ほかには無いちょっと変わった特徴を持っています。今回は『紅玉』について簡単に特徴や食べ方を書いていきたいと思います。
紅玉って?
見た目にはそこまで変わったところは無いが…?
こちらが『紅玉』。
果皮は明るめの発色が良い赤色。数多いりんごの中でもかなり色づきがよく感じます。見た目はとてもきれい。
サイズは規格によるかと思いますが、通常のりんごと同じようなサイズはあまり見かけないかな…という印象。どちらかというと小さいサイズのものをまとめて売っていることが多い気がします。
今までいくつか量ってみたけど、小さいサイズのものは可食部(皮や芯を除いた食べられる部分)が大体110gくらいといったところかな?まあ約100gと思っておけばいいかも。
断面はこんなかんじ。少し写りが良くないのですが実物はもっときれいな色をしています。
どこで買えるの?
特に珍しいものでもない…と言いたいところなのですが、お店によっては取り扱いが無いところもあります。広めの青果コーナーがあるお店であれば大抵は取り扱いがあると思いますので、普段のお買い物の際に確認してみてください。また、残念ながら長期保存には向かないようで、『ふじ』や『ジョナゴールド』のように1年中は出回りません。旬の時期を逃さないようにご注意を。
目安は秋頃。
※あくまで筆者の地元を基準にしているので地域によっては異なる可能性もあります。
かなりすっぱい!!
さて、見た目にはそこまで違いはわからない紅玉。
何が違うかというと、
すっごい酸っぱい……!!
…そう、酸っぱいのです。さすがにレモンほどは無いのですがかなり酸っぱい。
この『酸味の強さ』がこの品種最大の特徴といえます。
今まで食べたものだと、
②かなり酸味が強く、渋みはほぼ感じ無い
…の、2パターンがありました。
①は購入時期が1月とちょっと遅めだったので、今考えると古くなって風味が落ちていたのではないでしょうか。本来旬の時期に食べたものの感想であれば②に近いものと思われます。
生食が不可能というほどでもないので酸っぱいのが好きな人であれば生でもOKですが、正直あまり万人受けするとは言いづらいです。特に品種改良が進んだ昨今、生食で美味しいりんごは山ほどありますからね……。
『紅玉が特段すっぱい品種』…というより、『甘い品種が開発されてすっぱいりんごが消えていく中、紅玉が生き残った』のかもしれませんね……。
(※りんごの歴史には明るくないのであくまで個人的な予想ですが……)
ジャムやコンポートなどの菓子加工に最適!
…というわけで、酸味が強く生食にはあまり向かない紅玉ですが、
本領を発揮するのは生食ではなく菓子加工。
ジャムやコンポート、アップルパイなどに使うととても美味しく仕上がるのです。
砂糖を加えて加熱することで、紅玉が持つ酸味が甘みの中でアクセントとなり、味を引き立ててくれます。
今回はコンポートのレシピ例も載せておきますのでよろしかったら参考にどうぞ↓
紅玉のはちみつコンポートを作ろう!
・りんご …1個(皮を剥いて約250g~300g)
・水 …100cc
・はちみつ …大さじ3(約50g)
※他品種のりんごの場合はレモン汁を小さじ1追加してください
上記は普通のりんごのサイズを想定した場合。袋売りしてる小さいサイズのりんごの場合、1個の可食部が大体100gだから、3個あれば同じくらいになるかな?(※規格によってはもう少し大きいかも)
はちみつは大さじ1=約17~18gとして計算しています。
ボツリヌス症の原因はいろいろありますが、生後1ヶ月未満の子どもに対するはちみつもそのひとつ。
農林水産省のホームページに記載がありますのでご確認ください↓
じゃあ手順を見ていこう
まず、りんごをカットします。
※写真はサンふじなのですが紅玉でも行程は同じです
上の切り方は一例だから好きなカットでいいよ
鍋にりんごと分量の水、はちみつ、レモン汁を入れて弱火にかけます。
水が少なく感じますが、りんごからも水分が出るのでそこまで心配しなくて大丈夫。
150ccでも試してみたけどけっこう煮汁が残っちゃうんだよな
甘みは十分あるので水分多めのほうがいいという場合は少し増やしてもいいと思いますよ
『あく』はとった方が雑味は減ります…が、絶対とらなきゃいけないというわけでもないのでそこはお好みで。
りんごに竹串などを刺してみて、やわらかくなっていたら火を止めて完成。出来たてもいいですが、少し時間をおくと味がなじみます。
上写真はできてから30分くらいたったもの。果肉が透き通ったような色合いになります。
Q&A
はちみつを減らすor砂糖に代える場合は?
実際のところ、はちみつは大さじ2でも十分甘みは付きます。ただこの量だとはちみつの風味がイマイチわかりづらかったので今回のレシピでは増やして大さじ3としています。そこまで味が濃くなくていい、という場合ははちみつ大さじ2(+レモン汁小さじ1/2)くらいでいいのではないかと思います。
また、普通に砂糖のみで作る場合は大さじ3~4ほど必要です。
また、はちみつを減らし、砂糖と併用しても大丈夫です。ただ、併用するとはちみつの風味がよくわからなくなる可能性はあります(砂糖とはちみつを2:3の配分で試してみたところ、味はよかったのですが、砂糖の甘さにはちみつの味が負けてしまったのか、はちみつの味があまりわかりませんでした)。せっかくはちみつを使ってそれだともったいないので、もし砂糖と併用する場合ははちみつの割合を多めにしたほうが風味を活かせるのではないかと思います。
分量についてはあくまで一例ですのでお好みで調整してみてください。
普通のりんごの場合レモン汁を入れる理由は?
材料の欄に紅玉以外のりんごの場合はレモン汁を追加…と書きました。理由は紅玉の説明の時に書いたように、『酸味が甘みのアクセントになるから』。
元々が甘く酸味の少ないりんごの場合、甘味だけだと味がぼけちゃうんだ
元々が甘いりんごはどちらかといえば生食向き。菓子作りに使う場合はレモン汁を加えたほうがシャキッとした味になります。
ただあくまで個人的な体感ですが、レモン汁の酸味とりんごの酸味はちょっと違うので、紅玉と他の品種で全く同じ味にするのは難しいように思います。
普通のりんごのコンポートももちろん美味しいですが、紅玉のコンポートの味を知ってしまうと、ちょっとだけ物足りなく感じてしまうかも?実際に食べてみると違いがよくわかるので、興味のある方は是非作って食べ比べてみてくださいね。
23.09.19:全体の構成を少し変更しました。
24.01.12:コンポートレシピの記事を統合しました。