夏野菜の代表格のひとつ『茄子(ナス)』。出回っているものは『筑陽ナス』や『千両ナス』といった『中長ナス』が主流です。ほかにも丸みの強い『米ナス』『丸ナス』や細長い『長ナス』など形状も様々。
このようにいろんな品種があるナスですが、ほとんどが紫色をしているので『ナスといえば紫色』というイメージが強い人も多いのではないでしょうか。
ですが、実は紫以外の色をしたナスも存在します。
例としては下のような『緑色のナス』。

あまり見かけないものなので、『えっ、食べて大丈夫なの?』と思う人もいるかもしれません。
今回はこのような緑色のナス、通称『青ナス』について簡単にご紹介したいと思います。
青ナスの特徴は?
もともと『そういう色の品種』


紫色のナスと青ナスを並べてみると、色が全く異なるのがよくわかります。
トマトやピーマン、柿など、緑色から熟して赤や黄色に変わっていく野菜や果物は多く存在します。なので、
『緑色はまだ熟していない状態である』
…というイメージを持っている人もいると思います。そういったイメージの強い人だと『熟れていないんじゃない?』と思ってしまうかもしれません。
ですがご心配なく。
緑色のナスは『もともと紫の色素を持たない品種』です。決して熟れていないわけではないのでご安心ください。

ちなみに普通のナスはまだ小さい段階で既に紫色だから緑じゃないんだ
同じく紫の色素を持たないナスには『白ナス』もあります。

青ナスとは異なり実が白っぽい色をしています。

青ナスのことも『白ナス』って呼ぶことがあるからちょっとややこしいかな……
実際、今回紹介している青ナスの品種は記載が無かったのですが、形状から見ておそらく『薩摩白ナス』ではないかと思います。青いけど白ナス。本来緑も白もまとめて『白ナス』で、その中でも緑のものは青ナスと呼んでいるのかな…と思っています(※これに関してはあくまで個人的な解釈です。とりあえず当サイトでは区別するために緑色のものは青ナスで統一しています)
ちなみに変わった色で言えばほかにも縞模様が入った『ゼブラナス』というものもあります。白ナスもゼブラナスもあまり見かけないので、もしお店で見つけたら運が良いかも。
※ゼブラナスについてはこちら↓

断面は白い

縦に半分に切った断面。果肉は白色ですが、皮に近い部分はうっすら緑色です。
ちょっと注意したい点として、『皮を剥いても中(皮に近い果肉部分)の色が似ているため、剥いた部分がわかりづらい』ということがあげられます。もし全体的に剥く必要がある場合は剥き残しが無いようによくご確認ください。

皮と果肉は手触りが違うから、確かめるときは指で撫でてみるといいと思う
皮が硬い!
通常のナスは表面はハリがあってもそこまで硬いわけではないので、皮を剥くのは難しくありません。
ですが青ナスはけっこう表面(皮)が硬く、剥こうとすると途中で包丁がひっかかることがあります。普通のナスと比べるとちょっと剥くのが大変。
また、果肉も少ししっかりめな印象。

食べる時にも硬いなら剥いたほうがいいかな?と思いきや案外そうでもなかったりするんだ
生だと硬いのですが、加熱すると嘘のようにやわらかくなります。皮もすぐに噛み切れるくらいにはやわらかい。なので無理して剥く必要はありません。
※短時間の加熱だとまだちょっと硬い可能性はあります
変色しやすい……
ナスは切ってからしばらく立つと茶色く変色してしまいます(『褐変(かっぺん)といいます)。
青ナスは色が白いのでより目立つ…というのもあるかもしれないですが、切ってから変色するまでの時間が短く、割とすぐ茶色くなってしまうように感じます。

時間に関してはあくまで体感なんだけど変色するということには変わりないから、切ったらすぐに水に漬けたほうがいいと思うよ
青ナスの適した調理法は?
今までいくつか試してみたうちの例を上げておきます。先ほどの項目も踏まえ、参考にどうぞ。
フライパンで焼く

まず、皮付きのまま斜め輪切りにし、油をひいたフライパンで焼いてみました。うっすらと皮が茶色になっています。熱が加わるとこのように変色するようです。

出来上がり。
紫のナスと比べるとあまり色映えしないのでちょっと見た目的に物足りないかもしれませんが、味や食感は良く、美味しい。

シンプルに塩をふるだけでもいいし、味付け無しで焼いてタレをつけても美味しい
網(グリル)で焼く
次に、皮ごとグリルで焼く方法。『焼きナス』をつくってみます。
ナスをよく洗い、縦に数カ所(普通の細さなら4カ所くらいでOK)切り込みを入れます。グリルに丸ごと入れてじっくり焼き、少し冷まして、切り込み部分から皮を剥きます。

皮を剥いて食べやすい大きさにカットしたものがこちら。見た目は普通のものとそこまで変わらない気がします。
皮は変色してしまっても、焼きナスの場合は剥いてしまうので特に気にしなくてOK。
やわらかくトロトロに仕上がります。

しょうゆやかつお節をかけると美味しい
汁物
最後に、茹でる方法。今回は味噌汁にしてみます。

茹でていると皮がじわじわと茶色くなってきます。

しばらく茹でると色ムラが消え、目立たなくなります。

普通のナスと違って色は出ないみたいだ
調理における普通のナスとの最大の違いは『茹で汁に色が付かない』という点だと思います。紫色のナスはどうしても茹で汁に紫(青)の汁が溶け出すので、白い味噌を入れると色が悪くなってしまうことがあります。青ナスであればその色素自体持たないため、心配はなさそうです。それを考えると使いやすくはあるかも。
まとめ

じゃあ今回のまとめを簡単にやって終わろう
青ナスは、
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紫の色素を持たないナス
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皮や果肉は硬めだが、加熱するとやわらかくなる
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焼き物や汁物、炒め物などいろんな料理に使える
最低限押さえておきたいのはこのあたり。
少なくとも加熱調理に関しては今のところ感じるネックな点は皮の変色くらいかなと思います。色味を気にしなければ普通のナスのレシピで代用できそう。

あ、最後にひとつ。
青ナスは古くなってくると皮がところどころ茶色くなるのでご注意を!!

買ったら早めに使ってね
美味しいナスなので是非食べてみてくださいね。
23.07.04:項目を少し追加、ゼブラ茄子のリンクを追加
25.06.25:全体的に構成の見直し