冬から初春、遅くて初夏あたりまで幅広い品種が出回る柑橘類。その中でも国産でよく見かけるもののひとつに『文旦(ぶんたん)』が上げられます。
特段珍しいものではないのですが、手で剥くのが難しく少し手間がかかることもあってまだ食べたことの無い人もいるかもしれません。
今回は『文旦』について、ほかの柑橘とどう違うのか、おすすめの食べ方はあるのか……など、簡単に書いていこうと思います。
文旦ってどんな果物?
大きく、落ち着いた黄色い柑橘
まず見た目について簡単に。
サイズの大きい、黄色の柑橘です。同じく黄色いものに日向夏がありますが、それと比べると少し暗めというか落ち着いた色合いをしています。
ちなみに黒い斑点が見られるものもあります。上記写真のものも該当しますね。少し見た目は悪いですが中身には特に問題無いのでご心配なく。
スーパーで気軽に買えるものの場合、見た目が少し悪いというものも特に珍しくありません。味や食感に影響は無いので気にしなくてOK。どうせ食べる時には剥いてしまいますからね。
贈答用などの上等なものであればもう少しきれいな見た目をしているはずなので、多少値段が張ってもいいという場合はデパート地下や果物専門店などで探してもいいと思います。
文旦と言えば『土佐文旦』が有名。『土佐』の名前のとおり高知県の特産品として知られているぞ
といっても土佐文旦は必ずしも高知だけで作られているわけでもないようです。実際今回購入したものは九州産でした。
こちらは『高岡文旦』。宮崎県の高岡町が名の由来です
ほかにも品種はあるみたいですが、おそらく広く出回っている種類はそこまで多くはないでしょう。実際わたしが食べたことのあるのは上記2種のみです。
あくまで個人的な感想ですが、どちらもそこまで大きく変わるということはないように思います。どちらも美味しいです。
ちなみに上写真の高岡文旦の断面を見ると縦長に見えますが、文旦は形状に個体差があるので全部がそうというわけではありません。実際、最初に上げた土佐文旦は少し平たい形でした。共通といえば下の方が少しどっしりしてる…というところでしょうか。
皮と果肉ともにしっかりしている
中身は淡い黄色をしており、種がけっこうあります。
断面を見るとわかるとおり、白いワタ部分が分厚いです。この部分は苦みが強いため除いて食べます。
薄皮も果肉もかなりしっかりしているため、剥いてる際に潰れにくく扱いやすいのが良いところ。
上は半分に切った後に皮を剥いたもの。本来薄皮を剥くのであれば半分に切らないほうがいいのですが、今回は余分な水分があまり無かったからか割と上手く剥けました。
先にカットしてから剥こうとすると、そこから潰れた果肉や果汁が漏れてぐちゃぐちゃになりがちなんです……なので薄皮を剥いて食べる場合は半分に切らず丸ごと剥いたほうがいいです(今回は写真の撮影用に切ったので致し方なくそうしましたが……)
少し苦みのあるさっぱりとした味
さっぱりしつつも甘みはしっかりあり、酸味もほどよく。あとはポメロ系独特の苦みが少しあります。ただ八朔(はっさく)や甘夏と比べれば苦みはひかえめなので割と食べやすいほうではないかと思います。
果肉がしっかりしていてプリプリの食感は食べ応えがあり、それでいて果汁もしっかりあり。遅い時期だと少し水分が抜けてしまっている場合もありますがそれでも味はしっかりしているかなという印象。
種があるので飲み込まないよう注意。
文旦の食べ方は?
文旦のおすすめの食べ方(切り方)についても書いていきます。
結論から言うと、
①薄皮を剥いて中身を食べる
②半分に割ってスプーンで食べる
…のどちらかをおすすめします
先ほど『薄皮は剥くことをおすすめする』と書いた主な理由は
という2点。
この特徴によって、『小房ごと食べると苦みが強く、硬いせいで薄皮がいつまでも口の中に残る』ことになります。
なので、『苦みが苦手な人、また噛む力があまり強くない人』でも食べやすい方法として上記を上げました。
ただ『ものすっごく苦い』とまではいかないし薄皮の食感が好みという人もいるでしょうから、そこは好みですね……もし気になる場合はまず小房ごと食べて確認してみてもいいんじゃないかと思います
…ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、上記2つの方法について簡単に書いていきます。
薄皮を剥いて食べる
まず、薄皮を剥く方法。
手剥きだけだと無理なので包丁(もしくは果物ナイフ)を使います。
赤い線の部分に切り込みを入れて薄皮をめくっていきます。青線部分は中身とくっついているので慎重に剥がしてください。
上の写真は伊予柑なんだけど、文旦でも同じように剥けるんだ
文旦は果肉がくずれにくく、薄皮も丈夫なので難しくはありません。ただ万一ちょっと果肉がやわらかめで剥きづらい場合は一気に剥がさず、切り込みを入れたままの状態で食卓に出し、各自剥きながら食べた方がいいかも。
この方法であれば剥いたあとの果肉を野菜と混ぜてサラダにしたりもできます。
ただし『青線部分の薄皮(ワタ部分)がどうしても残ってしまう』という点はちょっとネック。その分少し苦みが残りやすいのでご注意を。
人によっては気になるかな、というくらいじゃないかとは思いますが念のため……
※果肉や薄皮にある程度強度がある柑橘であれば上記と同じ方法で剥けます。剥き方やどの柑橘に適するかなどは別記事にもう少し詳しくまとめたので、ご興味ありましたらご一読ください↓
半分にカットしてスプーンですくって食べる
次に、半分にカットしてスプーンで食べる方法。
グレープフルーツでよく使う手法ですが、特徴的に似た柑橘ならどれでも可能です。
上写真は文旦じゃなくてオロブロンコだけど似たような感じと思っていいよ
スプーンを入れても果肉が潰れにくく、薄皮も多少力を入れても破れないため掬いやすいです。
また、前項で紹介した薄皮を剥く方法と比べるとワタ部分が口の中に入らないので比較的こちらのほうが苦みが少ないです。純粋に果肉の味だけを楽しみたい、という場合はこちらの方法が良いかと思います。
スプーンはティースプーンなど小さめのほうがいいでしょう。また、果汁が飛んでしまう可能性があるので、服を汚さないよう注意してくださいね
まとめ
じゃあ最後に、簡単におさらいしてみよう
文旦という果物は、
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大きめの落ち着いた黄色い色合いの柑橘
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表面に黒い斑点があっても中身は大丈夫
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果肉がしっかりしていて剥きやすい
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さっぱり甘みや酸味、少しの苦みあり(八朔や甘夏よりは苦くない)
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薄皮を剥くか、半分に割ってスプーンで食べるのがオススメ
……と、こんな感じでしょうか。
手剥きできるみかんとは違い包丁が必要なので少し手間ではありますが、美味しい柑橘なので旬の時期に是非味わってほしいなと思います。