野菜の一種『かぼちゃ』。主に『西洋かぼちゃ』と『日本かぼちゃ』に分けられ、特に日本かぼちゃのほうは見た目に個性豊かなものが多いのが面白いところ。
直売所や大きいお店でたまに下写真のようなかぼちゃを見かけることはないでしょうか。
『鶴首(つるくび)かぼちゃ』と呼ばれるものです。今回はその特徴や、どんな食べ方が合うのかなど簡単に書いていきたいと思います。
鶴首かぼちゃの特徴は?
鶴の首のような形
鶴首かぼちゃ、名前はその文字通り、
『鶴(ツル)の首のような形をしている』
ことが由来となっています。
これが鶴首かぼちゃ最大の特徴と言えるでしょう。
面白い形してるなぁ
上部が細長く、ぐいっと曲がっているね。ここが首で、下の膨らんでいるところが胴体ってことかな
写真のものはほぼオレンジ色(茶色?)ですが、緑のまだら模様のようになっているものも見かけることがあります。元々は緑色で、完熟するとこのような色になります。お店で見かける段階だと既にこの色になっていることのほうが多いんじゃないでしょうか。
表面が白く粉っぽい?
表面を見ると、白い粉が噴いたようになっています。
普通食べる西洋かぼちゃは基本このようなものは見られないため、初めて見た時に
『食べても大丈夫?』
『もしかして農薬?』
……と心配になってしまう人もいるかもしれません。
これは『ブルーム』とよばれる物質。日本かぼちゃによく見られる特徴で、残った農薬とかではないので特に心配しなくて大丈夫。
ブルーム自体は問題ないけど、表面が衛生的かどうかは別だからどっちにしても使う時にはきれいに洗おう!
果肉は黄色っぽい
切って中身を見てみます。
うっすらと緑がかってはいますが、明るい黄色をしています。ワタの部分はオレンジ色。
種とワタは膨らんでる部分にあり、上の細長い部分にはありません。
日本かぼちゃは西洋かぼちゃに比べると色が薄いものが多い傾向にある気がするなぁ……前に『島かぼちゃ』っぽいものを食べたことがあるんだけど、それもこの色に近かった記憶がある
でも完熟バターナッツとかは果肉の色が濃いから品種によるんだろうね
ちなみに、西洋かぼちゃでも若いものは明るい黄色なのでちょっと色味が近いかも。
種は少し小さめかな?
普通のかぼちゃよりやわらかい
えびすなどの普段食べている西洋かぼちゃに比べると全体的にやわらかいので、少し包丁が通りやすく、切るのがさほど難しくありません。日本かぼちゃは果肉がやわらかい傾向にありますが、水分が多いかぼちゃなのでもしかしたらそれが影響しているのかもしれませんね。
加熱すると更にやわらかくなります。また、加熱時間もあまりかからない印象。
美味しい食べ方は?
スープや固める料理・菓子に向く
日本かぼちゃは西洋かぼちゃと比べて『やわらかく、味がひかえめ』という特徴があります。鶴首かぼちゃも例に漏れずそれに当てはまります。
やわらかいゆえに崩れやすく煮溶けやすいため、煮物や汁の実などの形を残す料理にはあまり向いていません。また、水分が多く甘みが少ないため、西洋かぼちゃの味に慣れていると物足りなく感じるかも。言い方は良くないですが人によっては『まずい』と思う人もいると思います。
ただ、かぼちゃは基本そのままでなく料理で使うもの。味付けや調理法で十分カバーは可能です。あと煮物には向いていないと言いましたがあくまで崩れやすいからという理由なので、作ることはできます。
果肉がなめらかなので、潰してスープ(ポタージュ)にしたり、固めてプリンや羊羹にすると美味しいです。加熱時間もそこまでいらないのもありがたいところ。
実際にわたしが作ってみた鶴首かぼちゃの料理のメモを置いておきますね。
例:かぼちゃようかん
果肉をつぶして、ゼラチンでかためて羊羹にしました。上品な甘さと少しねっとりした食感がクセになる一品。
・鶴首かぼちゃ …1/2個
・砂糖 …大さじ2(約18g)
・ゼラチン(粉)…5g
・お湯 …50ml
①かぼちゃの皮をむいて適当な大きさに切り、水からゆでる。
②竹串で刺してみて、スッと通るくらいやわらかくなったらザルに上げ、水気を切る。
③こし器(無ければザルでもOK)でこしながらつぶす。
④砂糖を加えてよく混ぜる。
⑤お湯でふやかしたゼラチンを加えてよく混ぜる。
⑥型に入れ、粗熱がとれてから冷蔵庫で冷やす。
型がなくてもタッパーでOK。
※我が家は型がないのでゼリーや寒天はタッパーで作ってるよ!
こしたほうがなめらかになりますが、そこまで繊維質でもないのでつぶすだけでも大丈夫だと思います。また、甘さが物足りない場合はもう少し砂糖を足してみてください。
寒天では試したことがまだ無いです。おそらくねっとり感を出すにはゼラチンのほうが向くかなぁとは思います。
(今後機会があれば寒天でも検証してみます)
例:煮物
煮物にもチャレンジ。味付けはシンプルに砂糖とこいくちしょうゆ。
上の写真を見ると、ところどころひび割れているのがわかります。やわらかくなりすぎるため、かなりくずれやすい。箸で掴もうとしてもくずれて掴めないくらい(つぎわける時は大きめのスプーンのほうがいいかも)。
見た目はちょっとよろしくないですが、やわらかくなめらかな食感で食べやすく、味もしっかりしみていて美味しいです。
落とし蓋をしてできるだけかき混ぜない、長く加熱しすぎない…といったことに注意すれば、煮崩れはかなり押さえられると思うよ。気になる人はチャレンジしてみてね
レシピは適当にやってしまったので上げられないですが、普通の西洋かぼちゃのレシピでも割としっかりめの味付けなので分量は同じくらいで大丈夫だと思います。果肉の色の明るさを考えるとどちらかといえば淡口醤油の方がいいかも。そこはお好みで。
皮は剥くべき?
加熱すればやわらかくなるので、皮ごと食べても問題ありません。剥くかどうかはどの料理に使うかによります。
煮物にするのであれば、皮を剥いてしまうと煮崩れを起こしやすくなるので皮付きが推奨です。
逆に、潰して使うのであれば、剥いた方がなめらかに仕上がります。
そこはケースバイケースで判断ってことだね
まとめ
じゃあ最後に簡単にまとめてみよう
鶴首かぼちゃは、
-
鶴の首のような形のかぼちゃ
-
表面の白い粉は特に問題無い(ただしどちらにしてもきれいに洗った方が良い)
-
やわらかく、くずれやすい
-
味はひかえめ
-
つぶしてスープやプリン、羊羹などに使うのがオススメ
-
くずれやすいが煮物も美味しい
……と、こんな感じ。
鶴首かぼちゃはあまり青果コーナーでは見かけないですが、直売所や地元の農産物を取り扱うお店などでたまに売っていることがあります。値段がお手頃なのも嬉しいところ。特徴をつかんでおけば美味しく食べることができるので、もし機会があれば是非食べてみてください。
24.09.10:全体的に構成を修正