金時人参~普通の人参と何が違うんだろう?~

金時人参

普段よく使う野菜のひとつ『人参(にんじん)』。根野菜としてはめずらしく1年中出回っています。オレンジ色という他の野菜にあまり見られない色合いは、料理に彩りを与えてくれます。

そんな人参にもいろんな種類があります。その中でもほぼ冬の一時期にしか見かけないのが『金時人参(きんときにんじん)』と呼ばれるもの。サイズや色合いがちょっと異なるので、初めて見た人は『ちょっと変わった人参だな』と思うんじゃないでしょうか。

では具体的にどのような点が違うのか、味はどうなのか?

今回は金時人参について簡単に書いていこうと思います。

『金時人参』ってどんな人参?

普段使っているオレンジ色とは種類が異なる

まず、同じ人参と言っても種類が異なります。

普段よく見慣れているオレンジ色の人参は『西洋人参』と呼ばれるもの。代表的な品種は『五寸人参(ごすんにんじん)』などがあります。西洋人参は1年中栽培されており、流通が途切れることはまずありません。

一方、今回のテーマである金時人参は『東洋人参』と呼ばれています。『京人参』とも。こちらは冬頃の収穫となるので見かける期間も短め。大体12~1月あたりがピークといったところ。

うめ
うめ

人参の品種によっては黄色や紫といったものもあるよ

ここから先の項目ではオレンジ色の人参は『西洋人参』と表記を統一して書いていきます。

金時人参は『赤くて長い』!

金時人参の最大の特徴はその色合い。

写真のように濃い赤色をしています。

やまも
やまも

写真だとちょっと暗く写っちゃってるけど、肉眼で見ればもっと明るい色をしてるはず……

実際に比べてみると違いがよくわかるかと思います。金時人参のほうはオレンジ色というよりはちょっと紅系寄りの色かなという印象。

真ん中あたりの断面。中まで色が濃い。

また、形も異なります。

西洋人参は太くどっしりしているのに比べ、金時人参は細く長いのが特徴。上写真のものは少し小さめなので特に差が際立っています。

金時人参の中でも大きく立派に育ったものだと太さはそこまで変わらず、もっと長いです。たまに一本単位で売っているのを見かけますが、実物を見るとかなり迫力があります(ただ、そういったものはやはり上等なので価格も高め)。

金時人参は『人参の風味が強い』!

さて、見た目も変わっていますが、やはり気になるのは味や食感。

野菜の中には色味が違えば味が異なるものもあればあまり変わらないものもあります。この人参たちはどうでしょう?

やまも
やまも

『生のもの』と『茹でたもの』でそれぞれ食べ比べてみたよ

【金時人参】
生食だと西洋人参より少しやわらかい食感。味が濃い。
茹でると更にやわらかくなる。味の濃さはやはり『西洋人参』より強い。
【西洋人参】
生食では歯ごたえがあり、割とあっさりめの味。
茹でるとこちらもやわらかくなり、ほんのり甘みが増す。

金時人参のほうが『味が濃い』というか、『人参の風味が強い』といった印象です。やわらかさもこっちのほうが上。

普段食べている西洋人参ですら、独特な風味があるため好みがわかれやすい野菜です。金時人参はそれ以上に風味が強いので、人参が苦手な人にとってはちょっと食べづらいかも……。逆に人参好きな人なら問題無く美味しく食べられるはず。

やまも
やまも

といっても劇的に大きく違うとかじゃないし料理の味自体に影響するほどじゃないから、普通に炒め物の材料のひとつとして使ったり汁の実にする程度なら味の違いはあまり気にしなくてもいいんじゃないかなとは思う……(人参メインで使う料理なら多少差は出ると思います)

余談ですが、『黄色の人参』の場合、逆に人参の風味がひかえめです。基本的に『赤みが強いほど人参の風味が強い』と思っておけばいいのかなと思います。

黄色い人参(にんじん)~オレンジ色と何が違うんだろう?~
黄色の人参はオレンジ色のものと比べるとクセが少なくあっさりめ。人参独特の風味が苦手という人におすすめです。

金時人参の食べ方は?

さて、金時人参はどのようにして食べればいいのでしょうか?

結論としては、

やまも
やまも

普通の人参と大体同じでOK

正月の食材のイメージがありますが、普段使いしてももちろんOK。炒め物、汁物、生なら野菜スティックなどいろんな食べ方があります。

正月用の料理……で言うなれば『紅白なます』『雑煮』『含め煮』……などでしょうか。

特になますは縁起を担いで紅白を意識するならより赤みの強い金時のほうが適していると言えます。汁物や煮物にする場合、飾り切りや型で抜くなどある程度大きめにしたほうが濃い赤色を活かせます。その場合は他の具材と一緒に煮ると煮崩れする可能性があるので手間はかかりますが分けて調理するのがおすすめ。

とは言え、上げた方法はあくまで一例。あまり変わった使い道を考えてもレパートリーが減ってしまいます。個人的にはその辺はこだわりすぎずに、食べやすさとか好みなどを最優先にしたほうがいいと思います。わたし個人は味噌汁に使うことが多いです。おいしいですよ。

どこで売っているの?

西洋人参と比べ、金時人参は入手が若干難しいです。生鮮野菜を幅広く取り扱っているスーパーならおそらく12~1月あたりで見かけることもあるでしょう。

うめ
うめ

あとは直売所とかかなぁ

野菜や果物の直売所でもたまに見かけることがあります。

今回掲載した写真は2019年に直売所から購入したもので、確か2本か3本入りの少し小さめサイズだったと記憶しています。また別のお店ではもっと小さいものが葉付きの状態でまとめて売っているのも見たことがあります。大きさを見るにおそらく間引きしたものと思われます。

直売所は趣味で栽培しているものや規格外のものなどあるので、細かったり多少形が悪いものもあるでしょう。ただ細くても普通に使う分には全く問題無いので大丈夫。もし飾り切りや型抜きして使いたい場合はある程度の太さが必要なので、そういうものをお求めの人はスーパーでしっかり大きいものを探した方がいいと思います。

まとめ

やまも
やまも

じゃあ、最後に簡単にまとめて終わろうか

西洋人参と金時人参の違いは、

  • 西洋人参と比べて金時人参は赤みが強く、紅色寄り
  • 金時人参は細く、長い
  • 金時人参は西洋人参よりやわらかく、人参の風味が強い
  • 12~1月(正月前後)によく出回るが、取り扱っているかどうかはお店による

こんな感じでしょうか。

うめ
うめ

金時人参は葉っぱ付きのまま売っていることもけっこうあるよ。葉付きのまま保存すると栄養分が葉の成長に使われちゃうから、保存するときは葉っぱは除いてね

食べたい、使って見たい人は今の時期を逃さないようご注意を。参考になりましたら幸いです。

※いろんな色の人参のまとめ記事はこちら。紫のものもあります↓

カラフルな人参4色!!それぞれの特徴を見てみよう
オレンジ色のほか、赤色(金時)、黄色、紫とバラエティが意外と豊かな人参。金時は人参の風味が強く、黄色と紫はひかえめだったりと色以外でも違う部分があります。
【更新状況】
22.03.02:成分表を七訂から八訂に差替、全体的にリニューアル。
23.12.15:全体の構成を変更するに伴い、成分表を削除。
24.12.24:全体の構成を変更
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