金時にんじん~普通のにんじんと何が違うの?

金時にんじん
やまも
やまも

今回のテーマは『金時にんじん』。普通のにんじんと比較しながら特徴を見ていこう。

【最終更新】22.03.02
成分表を七訂から八訂に差替、全体的にリニューアル。

『金時にんじん』と『普通のにんじん』の違い

見た目

上が『金時にんじん』、下が普通のにんじんです。比べてみると、金時はかなり赤みが強いのがわかります。写真だと少し暗く写ってしまったのですが、肉眼であればもっと明るい色をしていたと思います。
形は普通のにんじんがどっしりしているのに比べ、金時は細長いのが特徴。上写真のものは普通のにんじんより細いですが、上等なものだとそこまで変わらず、長さももっと長いです。

うめ
うめ

ちなみに、普通のにんじんは一般に『西洋にんじん』って呼ばれるものだよ。いろんな品種があるんだけど、ポピュラーなものは『五寸にんじん』かな。種もお店でよく見かけるね。

写真は2019年に撮影したもので確か2本か3本入りの少し小さめサイズだったと記憶していますが、もっと小さいものを葉付きの状態でまとめて売っているのも見たことがあります。大きさを見るに間引きしたものかなと思います。スーパーなどではおそらく大きめのものが主流だと思うので小さいサイズは見つけづらいかもしれません。直売コーナーで売っていることがあるのでご興味がある方はそちらを確認してみると見つかる可能性があります。

真ん中あたりの断面です。中まで色が濃いですね。

入手できる時期

普通のにんじんは本来の旬は夏ですが、基本的に1年中どの時期でも入手ができます。一方、金時にんじんは冬の間、主に12月~1月あたりによく出回り、それ以外ではあまり見かけません。

味・食感

やまも
やまも

『生のもの』と『茹でたもの』でそれぞれ食べ比べてみたぞ!

簡単な感想は下のような感じ。

【西洋人参】
・生 :歯ごたえがあり、割とあっさりめの味。
・茹で:やわらかくなり、やわらかい甘みが出る。
【金時人参】
・生 :『西洋人参』より少しやわらかい食感で味が濃い。
・茹で:更にやわらかくなる。味の濃さはやはり『西洋人参』より強い。

金時にんじんのほうが『味が濃い』というか、『にんじんの風味が強い』といった印象です。にんじん自体もともと独特な味なので好みがわかれやすい野菜ですが、金時はそれ以上に風味が強いので、にんじんが苦手な人にとっては食べづらいかもしれません。逆ににんじん好きの方なら美味しく食べられると思います。

やまも
やまも

といっても、にんじんをメインに食べる料理は別としてそこまでたくさんは使わないものだから、普通に炒め物や汁の実にする程度なら味の違いはあまり気にしなくてもいいんじゃないかなとは思う……

栄養成分・適した調理方法

やまも
やまも

最後に栄養成分と調理法について。

日本食品標準成分表では、『にんじん』と『きんとき』で分けて記載されています。

※可食部100gあたりにんじん 根 皮なし 生きんとき 根 皮なし 生
エネルギー30kcal40kcal
水分89.7g87.1g
たんぱく質0.8g1.8g
脂質0.1g0.3g
炭水化物8.7g9.7g
食物繊維(総量)2.4g3.6g
βーカロテン当量8300㎍4500㎍
ビタミンC6mg8mg

※文部科学省『日本食品標準成分表2021年版(八訂)』をもとに作成

どちらも『炭水化物』『食物繊維』が多めで、逆に『脂質』や『ビタミンC』は少なめ。
比較をすると、今回上げた成分に関してだけ言えば、全体的に金時のほうが栄養価が高いように見えます。

一方、にんじんの栄養素の代表とも言える成分である『ビタミンA(βーカロテン当量)』は普通のにんじんのほうが多く、金時の約1.8倍もあります。カロテンはオレンジ色の色素でもあるので、色の濃いほどカロテンが多いのではないかと思いがちですが、この数値を見るとそうではないことがわかります。ちなみに、金時の赤色は『リコピン』に由来します。トマトで有名な色素ですね。

とはいえ、あくまで『普通のにんじんと比べれば少ない』というだけで、金時も十分ビタミンAが多い野菜といえます。

ビタミンAは『脂溶性ビタミン』と呼ばれるビタミンで、油と一緒に摂ることで吸収率が上がります。なので、普通のにんじんも金時も、『栄養素を効率的に摂りたい』のであれば、炒め物にしたり、サラダにしてドレッシング(※ノンオイルでないもの)をかけたり、油揚げと煮物にしたりといった調理法がおすすめです。そこまで気にしないのであれば、汁の実にしてもいいし、お菓子の材料にしてもOK。特に金時は色が濃いので、色の薄い食材と組み合わせると映えると思います。それこそ正月の紅白なますが代表的ですね。

おすすめの調理法についてご紹介はしましたが、あまり固定観念にとらわれてしまうと料理のレパートリーが減ってしまいますから、個人的にはその辺はあまりこだわりすぎずに、食べやすいさとか好みを最優先にしたほうがいいかなとは思います。わたし個人は汁物に使うことが多いです。おいしいですよ。

オマケ:正月に使う野菜

ほかに正月用の野菜としては『ちょろぎ』『百合根(ゆりね)』など普段あまり見かけないものもたまにお店に出ています。ご興味がある方はその時期を狙って探してみるといいでしょう。ただし、遅い時期まで店に残っている場合は古くなっている可能性もありますので、買う前によく確認することをおすすめします。

以上、参考になりましたら幸いです。それでは。

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